教員SDを語る

教員SDを語る

慶應大学理工学部教授 村上俊之 慶應大学理工学部准教授 田口良広

 

Interview

村上俊之先生インタビュー

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-先生の専門分野を教えてください。

村上 制御を中心とした機械システムと、人間の協調を実現するということを専門としております。具体的には、車いすや電気自動車の高機能制御などに取り組んでいます。

-それによって、どのようなことが可能になるのですか?

村上 より人間の動作が信頼性の高いものになったり、あるいは、安全を確保するということができるようになるという風に考えています。

-先生は、学生の頃からそのような研究をなさっていたのですか?

村上 学生のときは色々とやっていまして、もともと、風力発電システムですとか、波力発電システムというものを研究していました。どちらかというと、エネルギー発生の研究を最初はやっており、そのあとに、ロボット制御をやるようになりました。ロボットは、なかなか現実では使えるものができないというようなところがあるので、より人に近く、役立つ機械システムというのを目指して、制御を中心とした機械システムの高機能化を考えるというのが、今の研究になっています。

-先生は、高校生のときからそういったことに興味があったのですか?

村上 高校生の頃はあまり興味が無くて(笑)、私はもともとの専攻が電気工学科というところでして、電気的なものに非常に興味がありましたね。

-先生から見て、この学科に向いている人の特徴はありますか?

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村上 システムデザイン工学科のもともとの設置趣旨は、激動する世の中に対して、社会的にも環境的にも対応できる、総合的な工学システムを表現して、ハードウェアをデザインしようというものです。どちらかというと、今までにない学問体系なんです。そのため、新しい領域の開拓に果敢に挑戦していけるような、研究者や開発者を目指しているような人が向いているんじゃないかと思います。

-システムデザイン工学科は、専攻間での交流が非常に盛んだと伺ったんですけれど、教授間でも多いのですか?

村上 専攻間というのは、なかなか難しい場合が多いですけれども、システムデザイン工学科の教員というのは、色んな専攻にいます。ですので、そういった意味では学科の内部で共同研究や連携を取るということはやりやすいので、その結果として専攻間での連携も生まれるということになるとは思います。ある意味では非常に自由な雰囲気がありますので、教員間での連携は、非常にやりやすい学科だと言えます。

-実際その連携によって生まれたものはありますか?

村上 はい。私の分野は制御に焦点を当てて、その性能を上げるというようなことをやっているんですけれども、最近では、ネットワークを通じた制御というのが色々考えられています。そのためには情報通信系の分野の力がないと難しい面がありますので、情報分野と制御分野の教授が連携して、ネットワークを通じた高精度な制御を実現するという例はあります。

-例えばそれは、ロボットにマップを読み込ませて、そこを実際に行き来させる、というようなことですか?

村上 そういったこともあります。他にも、例えば介護ロボットというものを考えたときに、技術的に実際の介護を全てロボットにやらせるとなると難しいのですが、遠隔で人が操作すれば、ある程度安全にできるようになるわけです。遠隔地からの介護であれば、情報通信を使わなければいけないので、そこにネットワークが必要になってきます。介護というと、制御や情報通信などの重要なポイントに安全性や信頼性が求められるので、その点については、教員間の連携によって、キチッと形になると思いますね。

-先生がそういった研究をされている中で、やりがいを感じるのは、どういった瞬間ですか?

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村上 やはり、「これはできないかもしれない」という風に思ったことが、実際にできたときです。こう言ってはいけないかもしれませんが、最近の研究は、ある程度予測を立てて、これはできそうだなって言うことをやってしまうことがけっこうあるんです。そういったものは、結果は出ますが、やっても面白いとは感じないことが多いわけです。これはできないかもしれないということを挑戦的にやった研究の方が、できた瞬間は非常にやりがいを感じますし、楽しくもありますね。

-先生にとって、この学科をひとことで言うならば、どんな言葉ですか?

村上 ひとことですか…ひとことで言うのが一番難しい学科なんです(笑)。あえて言うならば、非常に幅広い分野を扱い、挑戦的かつ多様に工学的応用を考えている学科ですね。

-システムデザイン工学科を目指す高校生に向けて、ひとことメッセージをお願いいたします。

村上 今、世の中というのは、非常に複雑化・流動化している面があって、ある技術開発をしても、環境や社会の状態ということも同時に考えなくてはならず、どんどんと難しいものになってきています。そうした中で、工学的なものを役立てるっていうことを考えると、どうしても、幅広い知識が必要になってくる。要するに、勉強することが多くなってきています。そういった意味で、システムデザイン工学科では、幅広い知識を基礎的な面から勉強して、その中でシャープに、鋭く軸となるような考え方ができるような勉強ができる学科です。ですので、これから、色々なことに興味持って勉強をして、ぜひ大学を目指してほしいな、と思っています。

村上先生の研究室ホームページ

Interview

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-先生の専門分野を教えてください。

田口 光を使った、全く新しいセンサーの開発に取り組んでいます。

-その開発によってどういうことができるようになるのですか?

田口 温度をより高精細に検知し、モニタリングできるようになります。身近な例を挙げますと、パソコンに搭載されているようなCPU は、使用しているうちに非常に熱くなることがあり、これによって、パソコンの故障が起きたり、熱暴走といった現象が起きてしまいます。そこで、中身の温度がどうなっているのかということを探ることができれば、探ることができれば、デバイスの発熱コントロールが可能となり、次世代デバイスの開発が可能になります。

-その研究を、バイオの方に応用されているとお聞きしました。

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田口 はい、たんぱく質は病気によって構造変化するのですが、それを光で計測する取り組みを行っています。センサーには非常に小さなチップを用いていて、例えば、腕時計の中に搭載することができれば、たんぱく質の構造変化を検知でき、いつでもどこでも簡単に、素早く健康状態を知ることができます。

-元々そういった研究は、学生時代からされていたのですか?

田口 学生のときは、レーザーを用いて、熱や物の性質を測るということを研究していました。卒業後はアメリカのスタンフォード大学で、次世代内視鏡の研究を2年ほどしていましたが、そこでは、内視鏡の中に埋め込み、がん細胞を検知するためのセンサーの開発に携わっていました。

-大学に入る前から、そのようなナノの世界に興味を持っていたのですか?

田口 実は、中学生の頃から宇宙に興味があり、そちらに進みたいという想いを持っていました。慶應大学に入り、ナノ分野の研究室に配属された際には、「あれ、宇宙じゃないんだ」と最初は思ったのですが(笑)、非常に面白くて。やはりナノテクは、これから発展していく分野だとも思いましたし、そこからのめり込んでいき、今に至っています。

-他の理工学部系の学科と、システムデザイン工学科の違いはありますか?

田口 どの学科でも、学問としての目的、言うなれば「山の頂」は同じだと考えますが、登り方に違いがあります。例えば、非常に専門的な学問体系の学科では、基礎をしっかりと行いながら頂を目指すわけですが、システムデザイン工学科は、エネルギー環境、メカニクス、マニュファクチュアリング、コントロール、そしてエレクトロニクスという5分野を体系立てて「融合」することで、「山の頂」を目指しています。現代社会の問題を解決するためには、複合的な学問体系が必要になってくるので、こういった特性が活きることが多いのです。

-この学科は、総合的ということをお聞きしましたが、教授間、学生間の交流は盛んですか?

田口 非常に盛んですね。例えば、他の研究室と一緒になって合同で合宿をする場合もありますし、あるいは海外研修といって、研究室同士で、海外の研究施設に行き、向こうの研究者たちとディスカッションやワークショップをすることもあります。精力的に外へ出て行って、みんなで一丸となって取り組む姿勢を持った学科ですね。

-皆さん、活発に交わられているのですね。研究室に生徒さんを招くこともありますか?

田口 そうですね。他の研究室の学生が研究室見学に来たりですとか、同じナノテク分野の研究室と合同で見学会を開いたり、あるいは発表会を開いたりもしています。そういったことで、お互いの分野を知り、新しいプロジェクトをつくっていこうとしています。例えば、建築系の先生と脳波を研究している先生とがコラボレートして、新しい建築の景観や、街のデザインが生まれることもありますし、共同研究なども幅広く行っております。

-学生の皆さんの雰囲気、また、キャンパスはどのような雰囲気ですか?

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田口 オンオフをつけるのが得意な学生が多いですね。研究室では研究にじっくり集中していますが、ひとたびキャンパスに出て息抜きをするときには、スイッチを切り替えてオフをしっかり楽しんでいるようです。ですからキャンパス内もピリピリもしておらず、のびのびとして活気がありますね。

-田口先生が教員になられたのには、どのような想いがあったのですか?

田口 現在、日本の企業では研究所が減り、基礎研究が無くなりつつあります。そのため、学生を広く受け入れ、基礎研究を行っていくという大学の機能が果たす役割は大きくなっています。自分が教授になることで、自身の研究を探求していくのはもちろんのこと、今後を担う後輩たちを育て、日本から世界に向けて新しい価値を発信していきたいです。

-今、田口先生が教授としてやりがいを感じるのは、どういったときですか?

田口 学生が「楽しい!」と感じてくれたときです。慶應義塾大学には「半学半教」という福沢諭吉先生の教えがあります。それは、教師と学生、相互に教え合い学び合う精神です。教師は学生に教える側である一方で、学生もまた、ある面では教える側でもあるということです。そのため、私も学生からも色々と気づかされることがあります。共にアイデアを出し合いながら、楽しんで課題を克服していき、学生の目がキラキラとしているときには、本当にやりがいを感じますね。

-田口先生にとって、このシステムデザイン工学科とは、どんな場所ですか?

田口 難しい質問ですね(笑)。私には、日本から世界に新しい技術を発信し続けたいという強い想いがあります。システムデザイン工学科には活気ある先生が多く集まっており、そこから得られることは、新しい価値に真っ先に結びつきます。ですから、私にとっては、ここが人生そのものであり、新しい価値をまさに生み出す場ですね。

-システムデザイン工学科を目指す高校生に向けて、メッセージをお願いします。

田口 システムデザイン工学科では、日本の技術力を高めるため、従来の縦割りの学問体系の殻を打ち破り、時代に即したカリキュラムのもと、日々教育・研究に取り組んでいます。新しい価値を創造することは一筋縄ではいきませんが、時代のニーズに即した先進的な融合分野をコアに持ち、課題解決に必要不可欠な5分野を横断的に学ぶことができるシステムデザイン工学科の特性は、これからますます重要になっていくでしょう。幅広い視野を持った意欲的な方と、世界へ向けて、一緒に価値創造をしていきたいです。

田口先生の研究室ホームページ